関西エリア(関西電力送配電)— 需要側の系統申込ガイド

関西電力送配電の区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。小売電気事業者以外も出せる事前検討、2段階の回答、高圧・特別高圧の工事費負担金、供給可能エリアマップ。

最終更新: 2026-11-04

供給区域は関西2府4県と三重県南部などです。本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 事前検討は小売電気事業者以外の需要者でも申し込めますと公式ページに明記されています【事前検討ページ】。
  • 回答は2段階です。工事の要否は原則2週間以内、工事費負担金の概算・工期まで知りたい場合は「詳細検討」を希望し、3か月程度かかります【通達】p21〜22。
  • 事前検討の手数料はかかりません【通達】p19。
  • 70kV・10MW以上の大規模需要向けに「供給可能エリアマップ」(2026年8月時点)を公開しています【エリアマップ】。

1. 申込みの流れ

高圧・特別高圧とも、骨格は同じです【事前検討ページ】【通達】p14〜27。

段階 申し込む人 期間の目安
① 事前検討(任意) 約款上は契約者(小売電気事業者)ですが、公式ページで小売電気事業者以外の需要者も可と案内しています。申込書に需要者の承諾者名を書く欄があります【約款】9(2)【事前検討ページ】 工事要否は原則2週間以内。工事概要・負担金概算・所要工期を含む「詳細検討」は3か月程度【約款】9(2)【通達】p21〜22
② 接続供給契約の申込み 小売電気事業者。高圧は「高圧たくそう君」(Web)で申し込みます。需要者は利用できません【たくそう君】p1, p4〜5 協議のうえ回答予定日を決定。標準日数の公表は確認できませんでした(各社窓口で要確認)
③ 供給承諾(契約成立) — 回答書の発行時点で接続供給契約が成立します【たくそう君】p1【約款】10
④ 工事費負担金の契約・支払い 契約者(請求先は小売電気事業者以外も指定可) 原則として工事着手まで。特別高圧の需要は承諾日から3か月以内に支払わないと申込みが取り消されます【約款】73(1)
⑤ 工事 — 高圧の新設の標準は、架空で約3〜5か月(電柱新設時4〜5か月)、地中で約3〜9か月【たくそう君】
⑥ 受電 — 開始日は協議で決定【約款】11

70kV・10MW以上で【エリアマップ】の対象範囲にある地点では、事前検討を省いて契約申込みに進む道筋も示されています。対象外の地点は事前検討(技術検討に3か月程度)から始めます【エリアマップ】p3〜4。

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
① 事前検討 「供給側接続事前検討申込【特高・高圧共通】」Excel。広域機関の共通様式 LP1(様式LP1-20240410)と同じ内容です【事前検討ページ】【広域様式】 任意様式の図面(PDF推奨)。新設・増量では引込付近図(引込柱から需要場所までのルート)と平面図(需要場所、キュービクルの位置等)。参考として単線結線図【事前検討ページ】
② 契約申込み 接続供給兼基本契約申込書(広域機関の様式 PP1 相当)【広域様式】 付近見取り図、平面図・立面図、単線結線図、キュービクル・PAS仕様書、契約電力の算定根拠、事前検討回答書など。リレー整定値・高調波計算書は竣工時【たくそう君】p38

検討に必要な情報として、敷地平面図・設備レイアウト、契約電力、供給電圧、単線結線図(保護リレーを含む)、負荷設備の合計容量と総合負荷力率、高調波・フリッカの発生源、受電用変圧器の定格、供給開始希望日が挙げられています【通達】別表3.9-2 p35〜36。

3. 提出方法と窓口

  • 事前検討: メールで提出します。公式ページのフォームにメールアドレスを入力すると、申込専用アドレスが自動で返信されるので、そこへExcelと図面PDFを送ります【事前検討ページ】。
  • 契約申込み(高圧): Webの「高圧たくそう君」(事前登録が必要)。予備送電サービスを含む地点、高圧500kW以上、特別高圧は、スイッチング支援システムの対象外です【たくそう君】p2, p6〜7。
  • 窓口: 託送営業部 ネットワークサービスセンター。電話番号・所在地は公式ページで確認してください。
  • ウェルカムゾーンマップに関する問い合わせは、専用フォームで受け付けています【エリアマップ】p3。

4. 費用

事前検討の手数料: なし。需要者側の検討料は申し受けないと定められています【通達】p19。

工事費負担金(託送供給等約款 第Ⅷ章)

区分 考え方 出典
高圧 引込みの工事こう長が架空1,000m/地中150mを超える部分に、架空3,410円/m・地中26,840円/m 【約款】69(1)
特別高圧 工事費(例: 地中70kVで 418円×契約電力kW×こう長m÷100m)から、当社負担額(新増加契約電力1kWあたり5,500円)を差し引いた額 【約款】69(2)【エリアマップ】p137
予備線(予備供給設備) 工事費の全額を負担 【約款】70(2)

支払いは原則として工事着手前です【約款】73(1)。

予備送電サービスの料金(受電後、毎月): 予備A は高圧 96円80銭/kW・特別高圧 77円00銭/kW、予備B は高圧 185円90銭/kW・特別高圧 116円60銭/kW【約款】21(3)。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

契約電力 供給電圧 出典
50kW以上 2,000kW未満 高圧 6,000V 【約款】13(3), 19
2,000kW以上 10,000kW未満 特別高圧 20,000V または 30,000V 【約款】19
10,000kW以上 特別高圧 70,000V 【約款】19
100〜300MW 規模 77kV または 275kV 【エリアマップ】p136

予備送電サービスは、A=常時と同じ変電所から同じ電圧で受ける予備線、B=別の変電所または異なる電圧で受ける予備電源です【約款】21。予備送電を希望すると、常時線と予備線の2回線の構成になります【通達】p39。

6. 空き容量・系統情報の公開

  • 需要側(特別高圧): 「供給可能エリアマップ」(2026-09-25掲載、2026年8月時点)で、70kV・契約電力10,000kW以上の需要者向けに、変電所周辺の供給余力(10MW〜300MW)、工期、負担金の目安(負担金・工期早見マップ)を公開しています【エリアマップ】。
  • 需要側(高圧): 配電用変電所・配電線ごとの需要側の余力の公開は確認できませんでした。個別の地点は事前検討で確認します。
  • 発電側の空容量との違い: 「流通設備建設計画・系統連系制約等」のページにある空容量マップは発電設備の連系用です。需要側の受電の可否とは別物なので注意してください。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • 2026-10-01 の約款改定(2026-07-22 認可): 特別高圧の需要について、供給承諾から3か月以内に工事費負担金を払わないと申込みが取り消されます。需要家の都合で再検討が必要な変更があった場合も取消しの対象です【認可プレス】p1【約款】73(1)。
  • 容量確保目的の申込みへの牽制: 供給可能エリアマップには「事業実態の伴わない(供給余力を確保する目的での)接続供給申込は…ご遠慮ください」「接続供給契約申込の受付前に、事業計画の提出、説明を求めることがあります」とあります【エリアマップ】p3。
  • 数百MW級の開発: マップの余力を超える大規模開発(栗東 250MW、南大浜 187MW など)は、変圧器増設等で工期5年以上、77kV/275kV での受電になる可能性が示されています【エリアマップ】p136。

8. 申込み実務のポイント

  • 2段階回答を使い分ける: 「詳細検討の要否」を「希望する」にしないと、2週間の工事要否の回答だけで終わります。用地の評価や事業計画に負担金・工期が必要なら、詳細検討を希望します【事前検討ページ】。
  • 連絡者欄: 申込書には申込者とは別に「連絡者」(事務的内容・技術的内容で別の方も可)の欄があります【事前検討ページ】。代理人の名義で申し込めるか、委任状が必要かの明文は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 入力の照合: Excelは「入力フォーム」シートに入力すると申込書シートへ転記される作りです。PDFにした申込書と入力内容が食い違っていないか、提出前に照合します。
  • 回答は容量の確保ではない: 回答書例には「将来の供給余力を確約したものではありません」「新増設のお申込時期が遅れた場合には…大幅に変更されることがあります」とあります【事前検討ページ】。事前検討回答の有効期限や、第三者(土地の買主など)への承継の規定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 契約申込みは小売電気事業者: 契約申込みの段階では、需要者が選んだ小売電気事業者が申し込みます。事前検討の回答書や図面一式を引き継げるように整理しておくと進めやすくなります。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。