北陸エリア(北陸電力送配電)— 需要側の系統申込ガイド

北陸電力送配電の区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。事前検討は小売電気事業者経由が原則で、回答は工事要否のみ。負担金概算・工期は契約申込みへの回答で示されます。140kVの電圧区分、50MW以上のウェルカムゾーンも解説。

最終更新: 2026-11-04

供給区域は北陸3県(富山・石川・福井)です【WZ】。本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 高圧・特別高圧の申込みは小売電気事業者から行うのが原則です。事前検討も小売電気事業者経由が原則で、電気工事店・建築設計業が書面で申し込めるのは小売電気事業者が未決定の場合のみです【申込頁】§1, §3。
  • 事前検討の回答は受付日から原則2週間以内で、内容は工事の要否です。工事費負担金の概算・所要工期は、接続供給の契約申込みへの回答で示されます【約款】9(2)ニ p17【特高編】p11, p14【高低圧編】7/61, 11/61。
  • 事前検討の検討料は無料です【特高編】p11【高低圧編】6/61。
  • 特別高圧の電圧区分に、50,000kW以上の140,000Vがあります【約款】19 p55。
  • 石川県・福井県で、50MW以上の供給余力がある変電所・送電線と最短工期を示す「大規模需要向け早期供給可能エリアマップ」(ウェルカムゾーン)を公開しています【WZ】。

1. 申込みの流れ

基本の流れは、①供給側接続事前検討の申込み(任意)→②事前検討の回答→③接続供給の申込み→④供給承諾→⑤工事費負担金契約→⑥負担金の請求・支払→⑦供給工事→⑧接続供給兼基本契約の締結、です【申込頁】§2。特別高圧は、工事後に給電申合書等も締結します【特高編】p6。

段階 申し込む人 期間の目安
① 事前検討(任意) 約款上は契約者です【約款】9(2) p16。運用上は小売電気事業者が、高圧は託送新増設申込システム、特別高圧は書面で申し込みます。電気工事店・建築設計業は、需要者が検討中の小売電気事業者への相談が推奨されており、小売電気事業者が未決定の場合のみ指定様式で書面申込みができます【申込頁】§3 FAQ353。システム入力時には「事前検討に関し承諾いただいた需要者」を記載します【申込頁】§5 受付日から原則2週間以内【約款】9(2)ニ p17【特高編】p11【高低圧編】7/61
② 接続供給契約の申込み 小売電気事業者のみ(高圧・特別高圧とも)。「高圧以上の設備増減設等は、電気施工業者は申し込みできません」とされています【申込頁】§1, §3 FAQ336 回答期間は申込者と合意した期間です【特高編】p14【高低圧編】11/61。申込期限は「原則、接続供給の開始希望日(各月の1日)の2カ月前」です【申込頁】§2
③ 供給承諾 — 書面で、連系可否・工事概要・工事費負担金概算・所要工期・対策工事・前提条件・運用制約が回答されます【特高編】p14【高低圧編】11/61
④ 工事費負担金の契約・支払い 契約者(小売電気事業者) 原則として工事着手前。特別高圧の需要は承諾日から3月以内(2026-10-01〜)【約款】72(1) p176〜177。期日までに支払わない場合は承諾が取り消されます【約款】52(4) p141
⑤ 工事・⑥ 受電 — 新設工事の標準工期は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。既設を利用する場合の準備期間は、特別高圧 2〜29週間、高圧500kW以上 2〜7週間、500kW未満 2〜3週間です【高低圧編】12/61【特高編】p15

系統アクセスルール特高編では、「申込者の都合により連系承諾後1か月を超えて工事費負担金契約が締結されない場合」等に、連系予約を取り消すことがあるとされています【特高編】p19。

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
① 事前検討(書面) 広域機関の「供給側接続事前検討申込書」様式LP1-20240410(北陸独自の様式はありません)【申込頁】§1, §3【広域様式】 書面申込み時の必須添付の指定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款上の申込事項は、需要者の名称・用途・需要場所、供給地点、契約電力、供給方式・電圧、負荷設備または主開閉器、開始希望日です【約款】9(2)ロ p17
① 事前検討(システム) 託送新増設申込システムの「高圧事前検討入力」画面(小売電気事業者のみ) 添付は任意(1ファイル3MBまで、pdf・xls等)。予備契約(不要/予備A/予備B)を入力します【申込頁】§5
② 契約申込み 接続供給兼基本契約申込書(特別高圧用。分割供給用もあり)。高圧はシステムに入力します【申込頁】§1 新設時の必須: 使用設備カード(指定様式①-a、Excel)、単線結線図、付近見取り図(隣接需要場所との境界を明示)、需要場所構内図(最寄りの引込柱番号)、受電柱装柱図、高調波流出計算書、自家用電気工作物の検査結果通知書(主任技術者から送電日前に)。必要に応じて、受電開始後1年間の最大需要電力の予想資料、自家発の資料、特殊機器のカタログ、特例区域等・電力融通・蓄電池特措の確認書【申込頁】§4
回答書 「供給側接続事前検討回答書」(システム上の名称)。広域機関の様式では LP2(事前検討回答書)・LP3(需要設備契約申込回答書)【申込頁】§5【広域様式】 —

様式の入手先:

3. 提出方法と窓口

  • 高圧: 託送新増設申込システム(利用登録は小売電気事業者、会員ID制)。事前検討は「高圧託送受付メニュー」→「事前検討」から入力します【申込頁】§1, §3, §5。ログイン: https://itdenkikoji-t.rikuden.co.jp/oa007-doc/contents/login/
  • 特別高圧: すべての申込種別をメール・郵送で受け付けています。事前検討も書面です【申込頁】§1。
  • 小売電気事業者が未決定の場合(電気工事店・設計業): LP1をメールで送付します【申込頁】§3。
  • 窓口・送付先: ネットワークサービスセンター(託送契約課) nsc.keiyaku@nw.rikuden.co.jp、TEL 0570-051-081(ナビ「2」)【申込頁】§2〜3。
  • 技術検討の担当は、特別高圧が支社の技術担当、高圧が支社の技術担当/支社配電部または配電センターの配電担当です【特高編】p7【高低圧編】4/61。

4. 費用

事前検討の手数料: 無料。「事前検討の検討料は無料とする」と定められています【特高編】p11【高低圧編】6/61。

工事費負担金(託送供給等約款 第Ⅷ章)

区分 考え方 出典
高圧 供給側接続設備の工事こう長が架空1,000m/地中150mを超える部分に、架空3,410円/m・地中26,950円/m 【約款】71(1)イ p168
特別高圧 工事費が当社負担額を超える部分 【約款】71(1)ロ p169〜
予備線(予備供給設備) 工事費の全額を負担。特別高圧で常時の設備と同時に施設する場合は単価の20% 【約款】71(2)ロ p173, 71(4) p176

支払いは原則として工事着手前、特別高圧の需要は承諾日から3月以内です【約款】72(1) p176〜177。経過措置が附則16に定められています【約款】p244。系統アクセスルール特高編は、工事費負担金の手続き・料金について「関連する約款等の規定による」としています【特高編】p19。

予備送電サービスの料金(受電後、毎月): 予備A は高圧 97円90銭/kW・特別高圧 93円50銭/kW、予備B は高圧 151円80銭/kW・特別高圧 124円30銭/kW【約款】21(3) p73。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

契約電力 供給電圧 出典
50kW以上 2,000kW未満 高圧 6,000V 【約款】13(3) p25
2,000kW以上 10,000kW未満 特別高圧 20,000V または 30,000V 【約款】19 p55
10,000kW以上 50,000kW未満 特別高圧 60,000V または 70,000V 【約款】19 p55
50,000kW以上 特別高圧 140,000V 【約款】19 p55

系統アクセスルール特高編の対象は「22kV配電系統を除く」特別高圧の系統です【特高編】p1。22kV配電系統への需要の連系の扱いは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

予備送電サービスは、A=常時利用する変電所から同位電圧で受ける予備線、B=別の変電所または異なる電圧で受ける予備電源です。契約電力は原則として常時の値で、協議により別の値(原則50kW以上)にできます【約款】21 p72〜73。システムでの事前検討でも予備A/予備Bを選択します【申込頁】§5。

6. 空き容量・系統情報の公開

  • 需要側(特別高圧): 「大規模需要向け早期供給可能エリアマップ」(ウェルカムゾーン)で、50MW以上の供給余力がある変電所・送電線と最短工期を石川県・福井県で公開しています【WZ】。
    • 石川県: 南金沢変電所 200MW、新能登変電所 300MW、中能登変電所 300MW、北金沢変電所 50MW(いずれも約2年半)など。
    • 福井県: 北庄・新武生・東金津・新福井 各300MW(約2年半)、越前 300MW(約3年)、松岡 50MW(約2年半)など。
    • 富山県: 50MW未満で検討する場合は個別に問い合わせるよう案内されています。
    • 最短工期は、北陸電力送配電の設備付近に供給地点を設ける等の条件のもとでの値で、供給地点が離れると工期は長くなります。掲載のない設備にも50MW未満の供給余力を持つ設備は多数あるとされています【WZ】。
  • 需要側(高圧): 高圧(6kV)の需要側の余力の公開は確認できませんでした。個別の地点は事前検討で確認します。
  • 情報の閲覧: 系統連系希望者の要請により、特別高圧では送電線路経路図・接続先候補の説明【特高編】p7、高圧では電柱位置図・配電設備の状況の説明【高低圧編】4/61 を受けられます。閲覧の申込み時は、申込者の名称・連絡先、設置予定場所、使用目的を示します。
  • 発電側の空容量との違い: 系統情報ページ等で公開されている発電側の空容量は、需要側の受電の可否とは別物なので注意してください。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • 2026-10-01 の約款改定(2026-07-22 認可): 特別高圧の需要地点について、①供給承諾から工事費負担金の入金まで3ヶ月以内とし、守られない場合は契約申込みを解除、②需要家の都合で技術検討に影響する不備・変更があった場合は契約申込みを取消し、とされました【認可プレス】p2。
  • 連系予約の取消し事由: 特高編では、承諾後1か月を超えて工事費負担金契約が締結されない場合、虚偽の記載、軽微でない内容の変更等が挙げられています【特高編】p19。
  • ウェルカムゾーン: 50MW以上の供給余力がある設備(石川・福井)を示し、大規模需要の立地を誘導しています【WZ】。データセンター向けの独自の受付ルールは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

8. 申込み実務のポイント

  • 申込みの名義: 契約申込み(高圧・特別高圧)とシステムの利用は小売電気事業者に限られ、電気施工業者は申し込めません【申込頁】§1, FAQ336。事前検討も小売電気事業者経由が原則で、電気工事店・設計業が書面(LP1)で申し込めるのは小売電気事業者が未決定の場合に限られます【申込頁】FAQ353。代理人として申し込む場合の委任状の要否・様式は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 事前検討の回答内容: 回答は、アクセス設備・計量器/変成器・通信端末・自動検針用通信線の4項目の工事の要否で、「確約されるものではなく申込時点での系統条件からあくまで机上検討した回答」とされています【特高編】p11【高低圧編】7/61【申込頁】§1。広域機関の案内では、工事内容・工事費負担金・工期等の詳細検討を希望する場合はその旨を申し出るとされていますが【広域様式】、北陸電力送配電の事前検討でこれを依頼できるかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 負担金・工期が分かる時期: 工事費負担金の概算・所要工期は、契約申込みへの書面回答で示されます【特高編】p14【高低圧編】11/61。用地の評価や事業計画にこれらの数字が必要な場合は、この時期を前提に計画を立てます。
  • 回答の有効期間: 事前検討回答の有効期限の明文はありません。「事前検討の回答から契約申込みまでの期間中、配電系統および事前検討の申込み内容に変化があった場合には、契約申込時にあらためて事前検討を実施」とされています【高低圧編】11/61。
  • 地位の承継: 事前検討回答の承継の規定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款53「名義の変更」は、成立済みの契約の契約者の権利義務の承継(北陸電力送配電所定の様式で文書により申出)に関する規定です【約款】p143。
  • 新設時の書類: 使用設備カード(指定様式、Excelの添付が必要)、付近見取り図(隣接需要場所との境界を線引き)、需要場所構内図(最寄りの引込柱番号)、受電柱装柱図、高調波流出計算書(対象がなくても提出)が必須です【申込頁】§4。
  • 申込期限: 契約申込みは、原則として接続供給の開始希望日(各月の1日)の2カ月前までです【申込頁】§2。
  • 関西エリアとの違い: 関西エリアでは事前検討を小売電気事業者以外からも広く受け付け、負担金概算・工期を含む詳細検討を選べます。北陸では事前検討は小売電気事業者経由が原則で、ルール上の事前検討の回答項目は工事の要否です。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。