大規模需要の新しいルール — 2026年10月施行の手続き規律と、2027年4月目標の容量開放・費用精算
データセンター等の「空押さえ」を防ぐために国が整備している規律。特別高圧の3か月ルール、30MW以上の容量開放・費用精算、段階別契約の6年上限、申込状況の公表。
データセンターなどの大規模な需要について、国(資源エネルギー庁の次世代電力系統ワーキンググループ)は、使われない容量を先に押さえる「空押さえ」や投機的な申込みを抑える方向でルールを整えています。2026-11-04 時点の状況をまとめます。
1. 一覧
| ルール | 内容 | 対象 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 工事費負担金の入金期限 | 供給承諾から3か月以内に入金。守らなければ契約申込みを取消し | 特別高圧の需要 | 2026-10-01 施行(各社約款を 2026-07-22 認可) |
| 不備・変更による取消し | 需要家の都合で、技術検討に影響する不備・内容変更があれば契約申込みを取消し(軽微な変更は除く) | 特別高圧の需要 | 2026-10-01 施行 |
| 容量開放 | 段階的に契約電力を上げる途中で、延期・減少が1年を超えて続いたら差分の容量を開放 | 最終契約電力30MW以上、かつ空き容量30MW未満の系統(案) | 2027年4月の導入目標。細部は審議中 |
| 費用精算 | 最終契約電力に1年を超えて届かなければ、未使用分に応じて工事費を精算 | 30MW以上・全エリア | 同上 |
| 段階別契約の上限 | 1回の契約で原則6年まで | 30MW以上 | 同上(案) |
| 申込状況の公表 | エリア別・年度別の受付中容量を四半期ごとに公表 | 特別高圧 | 運用中(2025年8月から) |
| ウェルカムゾーンマップ | 早く供給できる場所を各社が公開 | 主に特別高圧 | 運用中(10社) |
出典: 【WG11】p7〜8, p15、【WG12】p3, p6〜9、【関西認可】
高圧(2,000kW未満)の需要は、2026-11-04 時点でこれらの新しい規律の対象になっていません。
2. 費用精算の考え方(案)
第12回WG(2026-08-06)で示された案では、精算額は次の式で計算します【WG12】p8。
精算額 = 総工事費用 ×(使用予定電力容量 − 使用実績電力容量)÷ 設備工事後に増加する電力容量全体
資料の例では、変圧器工事30億円・増加容量300MW・使用予定150MW・実績50MW の場合、精算額は10億円です。精算の対象は30MW以上の需要のための上位系統(送電・変電)と供給線の一般負担分で、特定負担分は差し引きます【WG12】p7。
容量開放の対象エリアかどうかは、事前検討の回答で個別に伝える案になっています【WG12】p6。
3. これまでの経緯
| 時期 | 出来事 | 出典 |
|---|---|---|
| 2024-09 | 土地取得前に申し込んで枠を押さえる「仮押さえ」が問題提起される | 【WG1】p3 |
| 2024-10 | 特別高圧の申込済み・未連系の容量が2030年度までに累計約1,500万kW(2024年9月末時点) | 【WG1】p7 |
| 2025-01 | 次世代電力系統WGで需要側の系統接続を扱うことに | 【WG1】p2 |
| 2025-06 | ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0。ウェルカムゾーンマップの拡充、余力のあるエリアへの立地誘導 | 【ワット・ビット】p3〜8 |
| 2025-06 | 第3回WG。論点の整理と、特別高圧の申込状況の公表を決定 | 【WG3】p9〜25 |
| 2026-04 | 第10回WG。不備・変更時の取消し、容量開放・費用精算の大枠 | 【WG10】p4〜15 |
| 2026-06 | 第11回WG。対象は30MW以上、2027年度初頭から適用、段階別契約は最長6年 | 【WG11】 |
| 2026-07-22 | 各社の約款変更を認可(2026-10-01 実施) | 【関西認可】 |
| 2026-08 | 第12回WG。容量開放の対象系統、精算式、6年の例外 | 【WG12】 |
| 2026-09-11 | GX戦略地域(データセンター集積型)第1弾を認定 | → GX戦略地域とワット・ビット連携 |
4. 計画への影響
- 30MW以上の計画では、申込み時の契約電力と段階計画が実態に合っていないと、2027年4月以降に容量開放や費用精算の対象になる可能性があります。
- 用地の権原: 発電側では2026-10-01から用地使用権原の書類提出が義務になりましたが、需要側は「供給条件が整った状態での契約申込みを促す」段階で、書類提出の義務はありません【WG10】p6【関西認可】。
- 今後の審議で内容が変わる可能性があります。最新の資料は次世代電力系統WGのページで確認してください。
出典
確認日はいずれも 2026-10-01。
- 【WG1】資源エネルギー庁「局地的な大規模需要立地への対応について」第1回 次世代電力系統WG 資料5(2025-01-23) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/smart_power_grid_wg/pdf/001_05_00.pdf
- 【WG3】同「局地的な大規模需要に対する規律確保について」第3回 資料3(2025-06-27) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/smart_power_grid_wg/pdf/003_03_00.pdf
- 【WG10】同 第10回 資料1-2(2026-04-16) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/smart_power_grid_wg/pdf/010_01_02.pdf
- 【WG11】同 第11回 資料1(2026-06-10) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/smart_power_grid_wg/pdf/011_01_00.pdf
- 【WG12】同 第12回 資料3(2026-08-06) https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/smart_power_grid_wg/pdf/012_03_00.pdf
- 【ワット・ビット】総務省・経済産業省「ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0(案)」(2025-06-06) https://www.soumu.go.jp/main_content/001013612.pdf
- 【関西認可】関西電力送配電「託送供給等約款の認可について」(2026-07-22) https://www.kansai-td.co.jp/corporate/press-release/2026/pdf/0722_1j_01.pdf