九州エリア(九州電力送配電)— 需要側の系統申込ガイド

九州電力送配電の区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。特別高圧は需要家・自治体が無料で相談・事前検討できる電気供給ステップ、メールでの事前検討、工事費負担金、5万kW以上の空き容量がある変電所の公開。

最終更新: 2026-11-04

供給区域は福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島の7県です【約款】1, PDF p7。本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 入口が2つあります。託送の正式ルート(約款上の「契約者」=小売電気事業者が申し込む)と、ウェルカムゾーンマップの「電気供給ステップ」です。後者は特別高圧(2万V以上・2,000kW以上)について、お客さま・自治体が正式申込み前に無料で相談・事前検討できる仕組みです【WZ】step/01〜02。
  • 事前検討の回答は原則2週間以内(工事の要否・工事種別)です【約款】9(2) PDF p26〜27【申込頁】。
  • 事前検討の手数料はかかりません。フローのページに「検討料は不要です」と明記されています【申込頁】。
  • 事前検討・接続供給契約の申込書はPDFにしてメールで提出します【申込頁】。
  • 特別高圧の需要家向けに、「5万kW以上の空き容量がある変電所」(2026年3月時点の概算)を県別に公開しています【WZ】。

1. 申込みの流れ

段階 申し込む人 期間の目安
⓪ 系統情報の確認(特別高圧・任意) お客さま・自治体(問合せ)。無料【WZ】step/01 基本的に数週間程度【WZ】step/01
① 事前検討(任意) 約款上は「契約者が希望される場合」=小売電気事業者【約款】9(2)。特別高圧は、ウェルカムゾーンマップで「お客さまや自治体さまからお申込み」と明記されています【WZ】step/02 原則2週間以内(工事の要否・工事種別)。ウェルカムゾーンマップのルートでは工事費負担金の概算・工程も回答し、要否以外は目安期間を別途回答します【約款】9(2) PDF p26〜27(Ⅱ‐9〜10)【申込頁】【WZ】step/02
② 新増設の申込み(高圧・特別高圧の新設、設備変更を伴う増設) 託送新増設受付システムで電気工事店が申し込みます(九州電力以外の小売電気事業者と契約する需要者の場合)【申込頁】 高圧の標準工期の公式な公表は確認できませんでした(供給標準工期のページは低圧のみ。各社窓口で要確認)
③ 接続供給契約の申込み 小売電気事業者(契約者)。接続供給兼基本契約申込書と託送新増設受付システムを使います。需要者の承諾書の写しが必要です(同意書で省略可)【約款】9(4) PDF p28〜30【申込頁】 基本契約は原則として契約希望日の2か月前までに申し込みます【申込頁】。特別高圧は「お客さまと協議の上、回答日を決定」【WZ】step/03
④ 供給承諾(契約成立) — 承諾をもって契約が成立します【約款】10 PDF p35(Ⅱ‐18)
⑤ 工事費負担金の契約・支払い 契約者。特別高圧は先に調査・測量の覚書(実費弁済契約)を結びます【WZ】step 原則として工事着手前。特別高圧の需要は承諾日から3月以内に入金が必要です(2026-10-01〜)。払わない場合は承諾が取り消されます【約款】71(1) PDF p230(Ⅷ‐19)、51(4) PDF p184
⑥ 工事 — 特別高圧は「一般的に、電力の供給開始までに1年以上」【WZ】step
⑦ 受電 給電申合書等を契約者・需要者等と締結し、供給開始【申込頁】 —

全体の流れは需要側の系統接続の流れも参照してください。

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
① 事前検討 「供給側接続事前検討申込書」Excel(ホームページ上の更新日 2024-04-10)。広域機関の共通様式 LP1(様式LP1-20240410)で、関西エリアと同じ様式です。単記式・記入例・連記式(30地点まで)のシートがあり、需要者の承諾状況を書く欄があります【申込頁】【広域様式】 様式上で指定された添付は見当たりません。事前検討の段階で添付資料が必要かどうかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)
① 事前検討(特別高圧・ウェルカムゾーンマップのルート) 様式の掲載はありません。提供する情報は、業種、設置場所・供給地点、契約電力、希望受電電圧、使用開始希望日です【WZ】step/02。書式・提出先は確認できませんでした(各社窓口で要確認) —
② 新増設(高圧) 電力使用申込書(1号表=申込書、2号表=受電設備・負荷設備一覧、3号表=需要場所の図面(構内1号柱・引込希望柱の位置))【申込頁】 1号表の注記: 設備一覧表、高圧単線結線図、構内平面図【申込頁】
③ 接続供給契約 接続供給兼基本契約申込書(Excel)【申込頁】 振込口座、小売電気事業の計画、問合せ先一覧、託送関連データ提供システム利用申請書、需要者の承諾書提出省略の取扱に関する同意書、委任状(代表者契約の場合)、ヒアリングシート【申込頁】

3. 提出方法と窓口

  • 事前検討・接続供給契約: PDFにしてメールで提出します。提出先はネットワークサービスセンター 託送契約グループです。メールアドレスは公式ページで確認してください【申込頁】。
  • 新増設: Webの「託送新増設受付システム」(https://takusou-uketuke.kyuden.co.jp/takusou/ )。IDは利用申込書を郵送して発行を受けます。電気工事会社・主任技術者等の送付先は託送ヘルプデスク受付担当です。所在地は公式ページで確認してください【申込頁】。
  • 特別高圧の空き容量・系統情報の相談: 各支社の企画業務部 系統計画グループ(8支社。電話・メールはウェルカムゾーンマップに掲載)【WZ】。
  • 一般的な問合せはフォーム(https://www1.kyuden.co.jp/td_php/inquires/index.php/menu )で受け付けています。
  • 2026-09-17 のお知らせ「発電設備等に関する事前相談についてWeb申込を開始」は発電側のみが対象です。需要側の事前検討のWeb受付は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

4. 費用

事前検討の手数料: なし。約款9(2)に検討料の定めはなく(受電側接続検討の22万円とは別扱い)【約款】PDF p26、フローのページにも「検討料は不要です」とあります【申込頁】。ウェルカムゾーンマップの①②も「検討費用は発生しません」としています【WZ】step。

工事費負担金(託送供給等約款 第Ⅷ章)

区分 考え方 出典
高圧 引込みの工事こう長が架空1,000m/地中150mを超える部分に、架空3,410円/m・地中27,170円/m 【約款】70(1)イ PDF p218〜219(Ⅷ‐7〜8)
特別高圧 単価(1kW・100mあたり)架空 20kV 550円・60kV 176円・100kV 110円、地中 20kV 671円・60kV 539円・100kV 330円 × こう長 × 新増加契約電力 から、当社負担額5,500円/kWを差し引いた額。ウェルカムゾーンマップにも同じ算式の解説があります 【約款】70(1)ロ PDF p220〜222(Ⅷ‐9〜11)【WZ】step
特別供給設備 標準設計を超える部分・希望による地中化・専用供給設備は、超過額または全額。予備供給設備は工事費の全額。ウェルカムゾーンマップでは、予備回線を常時回線と同じ鉄塔に同時施設する場合を「工事費×20%」と説明しています 【約款】70(2) PDF p224〜226【WZ】step
  • 特別高圧は、本工事の前に調査・測量の実費弁済契約を結びます【WZ】step。
  • 供給開始前に廃止・変更した場合は実費を負担します【約款】72(1) PDF p233。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

高圧は標準6,000V、特別高圧は標準20,000V以上です【約款】3 PDF p9。

契約電力 供給電圧の目安 出典
2,000kW未満 6kV 【WZ】step
2,000kW以上 10,000kW未満 20kV(地域により20kV設備がなく60kV) 【WZ】step
10,000kW以上 60kV 【WZ】step
50,000kW以上など さらに高い電圧。約款13(3)の標準電圧では100,000V 【WZ】step【約款】13(3) PDF p37〜38

予備送電サービスは、A=常時と同じ変電所から同位の電圧で受ける、B=別の変電所または異なる電圧で受けるの2種類で、高圧・特別高圧で利用できます【約款】21 PDF p99。予備供給設備の工事費は全額負担です。ウェルカムゾーンマップは予備線の契約を勧めています(費用が発生します)【WZ】step。事前検討申込書にも予備電力(予備A/B)の欄があります【申込頁】。

高圧と特別高圧の違いは高圧と特別高圧の違いも参照してください。

6. 空き容量・系統情報の公開

  • 需要側(特別高圧): ウェルカムゾーンマップ内の「供給余力マップ(系統用変電所)」は特別高圧の需要家向けで、2026年3月時点の概算として、県別ページに「5万kW以上の空き容量がある変電所」を掲げています【WZ】。
    • 福岡: 西福岡・伊都・赤坂・南福岡
    • 長崎: 東佐世保・松島・北長崎・長崎・諫早
    • 大分: 海崎
    • 熊本: 苓北
    • 鹿児島: 出水・霧島・大隅
    • 北九州・佐賀・宮崎は掲載がありません。
    • 福岡・大分・熊本・宮崎は「上位系統の増強工事完了後(2030年頃予定)は空き容量が生じる場合あり」とされています。
  • 産業用地情報マップ: 自治体と協議した産業団地の一覧で、特別高圧の需要家向けです【WZ】。
  • 需要側(高圧): 6kVの配電用変電所・配電線ごとの需要側の空き容量の公開は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 発電側の情報との違い: 「系統情報の公開」ページ(予想潮流・系統混雑見通し・潮流実績CSV等、https://www.kyuden.co.jp/td/service/wheeling/disclosure.html )は主に発電設備向けです。需要側の受電の可否とは別物なので注意してください。

各エリアの公開状況はマップも参照してください。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • ウェルカムゾーンマップと電気供給ステップ: 特別高圧(2万V以上・2,000kW以上)では、正式申込みの前に、お客さま・自治体が無料で①系統情報の確認(数週間)、②事前検討(工事費負担金の概算・工期まで。要否は約2週間)を受けられます。小売電気事業者を通さずに需要家側から動ける点が九州の特徴です【WZ】step/01〜02。
  • 公式ページ上で、データセンターに特化した受付ルールや優遇は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 2026-10-01 実施の約款改定(大規模需要の規律): 特別高圧の需要地点では、①供給承諾から工事費負担金の入金まで3か月以内(守られなければ申込取消し)、②供給対策工事・技術検討に影響する需要家都合の不備・変更は申込取消し、となりました【認可】【約款】71(1)・附則19。
  • 2026-11-01 実施版の約款(新しい託送料金)も届出済みです。申込手続きの条項は同じです【約款】。

8. 申込み実務のポイント

  • 申込者の名義: 約款上、供給側接続事前検討は「契約者」(小売電気事業者等)が申し込みます【約款】9(2)。一方、供給余力マップの各ページは「供給側接続事前検討のお申込みを希望されるお客さまは」として小売電気事業者向けの申込みページへ案内しており、特別高圧ではウェルカムゾーンマップで「お客さまや自治体さま」からの事前検討申込みを明示しています【WZ】。高圧の事前検討を小売電気事業者以外の名義でメール提出できるかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 連絡者欄と委任状: 様式LP1には、申込者とは別の担当者を書ける「連絡者」欄と「需要者承諾状況」欄があります【申込頁】。公開されている委任状は「代表者契約の場合」(約款4の代表契約者の選任)用のみで、第三者が代理で申し込む場合の委任状様式は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 新増設は電気工事店: 高圧・特別高圧の新設は、託送新増設受付システムに電気工事店が登録して申し込む建付けです【申込頁】。
  • 回答の有効期間: 事前検討回答の有効期間は、約款・申込みページに定めが確認できませんでした(各社窓口で要確認)。受電側接続検討の「1年以内」の規定は発電側のみのものです。
  • 申込み内容の変更・承継: 名義変更(約款52)は、成立済みの契約について「すべての権利義務を受け継ぐ」場合の規定です。事前検討回答の地位を承継する規定はありません。申込み内容を変更すると「変更前の申込みは取消し」になります【約款】9 PDF p24。電力使用申込書の契約事項2・3も、事前承諾のない権利義務の譲渡を禁じています【申込頁】。需要者が変わる場合の具体的な扱いは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 特別高圧は承諾後3か月が期限: 承諾日から3か月以内に工事費負担金を入金しないと承諾が取り消されます【約款】71(1) PDF p230、51(4) PDF p184。
  • 関西エリアとの違い: 事前検討の様式は同じLP1です。九州はメール(PDF)で提出し、特別高圧はウェルカムゾーンマップのルートで需要家・自治体が直接無料で相談できます。関西エリアも参照してください。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。